「ただいまー」 「…なんだ、帰ってきたんですか?」 夜の10時、先に上がったジェイドは6時には家に居た。テレビを見つつ自分の使った食器を洗っていたところに ガイが帰ってくる。しかし、それはジェイドにとって予想はあまりしていなかったことだったらしい。 「ルークが急に来ないって言ったから、もう終わったんだよ…腹減ったー」 「うわ、食べて来なかったんですか?無いですよ貴方の分」 「えええーマジかよ…」 風呂は、と聞いても返事は「今から溜めようと思ってました」落胆。腹は空いた、練習後だから汗もそこそこかいてるし 風呂に入りたいのに。インスタントものならすぐできるし、さっさと食べようか。いつもそれ系統が入れてある 戸棚に行く間に、まだ洗ってないフライパンを見た。くそ、俺がいないってのに、買っといたサーモン食いやがった。 悔しい思いの中、ガイは寂しくカップラーメンを取り出す。 「あ、それ食べないで下さい。ご飯いっぱいあるんで」 「…おかずは?」 「……漬け物?」 「…はぁー……」 それでも何もない為に、仕方なしに漬け物とお茶漬けに相成った。なにも面白くないお笑い番組の 萎びた笑いに腹が立つ。が、それを発散する程の元気はそろそろ無い。風呂に入って寝たい。 「風呂溜めるんで、先に入っていいですよ」 「んー」 「…明日の夕食も私ですか… ……何食べたいですかー?」 「きくな…」 何でも良いと答えたいが、それはそれで困るし、自分が当番の時もかなり困る。それにもう 夕飯を考えるのは面倒だ。何故明日の夜の事を今から。数分もせぬうちにお茶漬けも完食してしまった、 全く足りない。これじゃ明日の朝は空きっ腹で目覚めてしまう。それは気分の悪い事この上ない。 「ああ、そうだ。ティアからケーキを頂いたんですけ」 「食べる!」 「はいはい…」 食い付きの早いガイに冷蔵庫から取り出したパウンドケーキを差し出す。ティアはジェイドの教え子で、 よくケーキやらクッキーやらを差し入れてくる。恐らく、彼氏にあげるものの残りだろうが。 「いっつも悪いなー…今度何か渡しとくかな…っつーか、うまいな」 「でも、アッシュに渡さなかった分、何か失敗してるんでしょうがね」 「俺らは毒味かよ」 「まあおいしいからいいじゃないですか…って全部食べました?一個も食べてないんですけど」 「あ、ごめん。ていうか、食いたかったのか?」 「いえ、そこまでは…」 割といつでも食べれるから構わないのだが、それでもジェイドに、と差し入れてきたものなのに。 しかし数個のパウンドケーキは簡単にガイの腹に収まった、が、やはりガイとしてはまだ足りなかった。 「そうそう、今日こそはゴム買ってきたんですけど」 「俺の夕飯を用意してくれてたら良かったけどな… 風呂ならいいけど?」 「じゃ、妥協策ですが…風呂で」 「明日寝坊だなー…まぁいいか…」 いや、若いですね。 38で盛れるあんたも、十分若いと思うんだけど。 |